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褥瘡と褥創について
[2001/07/19]
日本褥瘡学会前理事長 大浦 武彦
現在褥瘡と褥創の両方が使用されているが,日本褥瘡学会においては以下の理由で褥瘡の字を用いることとした(表1)。
褥瘡(以下ヤマイダレ瘡)は,医学の教科書や医学論文では以前より一貫して使用されている。 褥創は看護(主にETナース)領域で意識的に使用され始めたが,その理由とするところは,今まで難治性潰瘍の代表であった褥そうでも全身的および局所的に創治癒を促進する治療環境を整えるケアをトータルに実施することにより治癒させることが可能な創傷の一つであるという考えによる。実際,日本の看護辞典には褥瘡および褥創が併用されている。
日本褥瘡学会理事会では学会設立の際,看護領域の代表理事も混えて検討を行い,以下述べる理由でヤマイダレの瘡を使用することを決定した。
まず,字の意味するところとして,ヤマイダレの瘡は,内部要因による壊死,痂皮,「おでき」とあり,褥瘡の他に結核による潰瘍の狼瘡に使われている。
一方,キズの創は,刀キズ,外傷による創である。
実際の褥瘡と「切り創」を比較し,どちらが適切かを考えたい。
- 原因:褥瘡の原因は複雑であり,圧力,剪断応力,危険因子,低栄養,病的骨突出とADLなどがあげられる。単なる圧力のみでおきるのではない。一方,切りキズは単純で外力や刃ものによるものである。
- 壊死組織:壊死組織が創や潰瘍の中に存在することは,その治癒経過に大きな影響を与え治癒を長引かせる。この壊死組織は褥瘡では必発であり,壊死組織の扱いが褥瘡の治癒経過を左右する。一方切りキズにはほとんど壊死組織はない。
- 治癒経過:褥瘡では長く二次癒合,難冶性である。
一方切りキズでは治癒期間は短く,一次癒合,易治性である。 - 予防:褥瘡では予防可能であり,その際トータルケアが必要。
- 死亡原因:褥瘡をもって死亡する症例では,感染の直接の病状で死亡するよりも,むしろ呼吸不全,心・腎不全の症状を呈することが多い。したがって褥瘡患者のターミナルにおいては全身病としてのケアが必要である。
以上のように褥瘡は切りキズのよう単純なものではなく,奥が深く,トータルケアが必要な潰瘍である。したがって,本学会では褥瘡はヤマイダレの瘡が適切であると理事会において判断した。
[ 附 ]
瘡面や創(辺)縁などと合成語とするとき,どの様に使うべきかについて。
これは創面はwoundsurface,創縁はwoundedgeの邦語であり褥瘡の創面woundsurfaceofpressureulcers,褥瘡の辺縁woundedgeofpressureulcersでよいと考えている。この使い方は下腿潰瘍の創面woundsurfaceoflegulcers,狼瘡の創(辺)縁woundedgeoflupus,狼瘡の蚕食虫性潰瘍rodentulcersoflupus,熱傷創面,熱傷創辺縁woundedgeorsurfaceofburnsなどと同じ使い方である。
表1 褥瘡と褥創
| 褥瘡 | 切り創 | |
|---|---|---|
| 原因 | 複雑,圧力,剪断応力,危険因子,病的骨突出,低栄養,その他 | 単純,外傷,外力 |
| 壊死組織 | 必発,多い | ほとんどない |
| 治癒経過 | 長い 二次癒合,難治性 |
短い 一次癒合,易治性 |
| 予防 | トータルケア | ? |
| 死亡 | ターミナル 呼吸不全,心不全を呈する,栄養不良,感染 |
救急,出血,感染 |











