日本褥瘡学会 Japanese Society of Pressure Ulcers

日本褥瘡学会は褥瘡の予防から治療まで研究・検討・啓蒙・教育活動を行なうことを目的としています

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「DESIGN」重症度分類と経過評価のツール(DESIGN-R含む)

[2005/03/10]
[2008/12/15 DESIGN-R 追加]


DESIGNについて

 DESIGNは治癒過程を評価するためのツールとし,受傷から悪化する急性期には使用しないことをとりあえずの原則とした。急性期は病態の変化が多岐にわたり,この時期の評価を含めると複雑となり1つのスケールとしてまとめるのは困難と判断されたためである。次にDESIGNツールとして,日常の簡便な評価のための重症度分類用,および詳細に治癒過程の流れが示される経過評価用の2つを検討した。さらに各項目を軽度と重度に区分し,軽度をアルファベットの小文字(d.e.s.i.g.n),重度を大文字(D.E.S.I.G.N)で表記することにした。経過評価用では各項目を細分化しスコア化した。スコアの内容は重症度の高いほど高得点となり,治療に伴って点数が減少すれば改善傾向を示すというものである。おのおのの表の最下段に部位の項目(仙骨部,坐骨部,大転子部,踵骨部,その他)を設け,該当する部位を記入することにした。
 また,日本褥瘡学会では,褥瘡経過を評価するだけではなく,深さ以外の6項目からその重症度も予測できるDESIGN-R褥瘡経過評価用を2008年に公表した。DESIGN-Rでは「d(もしくはD)◯- e (もしくはE)◯ s (もしくはS)◯ i (もしくはI)◯ g (もしくはg)◯ n (もしくはN)◯ p (もしくはP)◯:◯◯(点)」と表記する。また,「D」と「ESIGNP」の間に「-(ハイフン)」を入れることで,2002年版DESIGN褥瘡経過評価用との区別化を図っている。(詳細は褥瘡会誌第10巻4号に記載)


1.DESIGN褥瘡重症度分類用(表1)
1)Depth(深さ)
 創内の一番深いところで判定し,真皮全層の損傷(真皮層と同等の肉芽組織が形成された場合も含める)までをd,皮下組織をこえた損傷をDとし,壊死組織のために深さが判定できない場合もこのDの範疇に含める。
2)Exudate(滲出液)
 ドレッシング交換の回数で判定する。ドレッシング材料の種類は詳しく限定せず,1日1回以下の交換の場合をe,1日2回以上の交換の場合をEとする。
3)Size(大きさ)
 褥瘡の皮膚損傷部の,長径(cm)と短径(長径と直交する最大径(cm))を測定し,それぞれをかけたものを数値として表現するもので,100未満をs,100以上をSとする。
4)Inflammation/Infection(炎症/感染)
 局所の感染徴候のないものをi,感染徴候のあるものをIとする。
5)Granulation tissue(肉芽組織)
 良性肉芽の割合を測定し,50%以上をg,50%未満をGとする。良性肉芽組織の量が多いほど創傷治癒が進んでいることになり,本来なら数値が逆であるが,大文字が病態の悪化を表現しているためこのような記述方法となった。なお,良性肉芽とは必ずしも病理組織学的所見とは限らず,鮮紅色を呈する肉芽を表現するものとする。
6)Necrotic tissue(壊死組織)
 壊死組織の種類にかかわらず,壊死組織なしをn,ありをNとする。
7)Pocket(ポケット)
 ポケットが存在しない場合は何も書かず,存在する場合のみDESIGNの後に-Pと記述する。たとえば,深さ,大きさ,壊死組織が重度であり,他が軽度でポケットの存在する場合は,DeSigN-Pと表記する。

 表1 DESIGN 褥瘡重症度分類用

2-1.DESIGN 2002年版褥瘡経過評価用(表2)

 褥瘡経過評価用がDESIGN-Rに移行しても2002年版DESIGNがなくなるわけではなく,2002年版とDESIGN-R(2008年改訂版)とは併存しうる。すなわち,褥瘡以外の難治性潰瘍,たとえば糖尿病性潰瘍などの創評価を行うには,DESIGN-Rよりこれまで通り2002年版を用いた方が簡便かつ有用である。

 表2 DESIGN 2002年版褥瘡経過評価用(表2)
 表3 DESIGN-R 褥瘡経過評価用


2-2.DESIGN-R(2008年改訂版褥瘡経過評価用)(表3)- Rは評価あるいは評点(rating)の頭文字

 DESIGN-Rでは,深さの数値は重み値には関係しない。また,深さ以外の6項目(滲出液,大きさ,炎症/感染,肉芽組織,壊死組織,ポケット)の合計点の0点から66点までの総点がその創の重症度を表す。
1)Depth(深さ)
 創内の一番深い部分で評価,また,改善に伴い創底が浅くなった場合はこれに相応する深さとして評価し,DUを加えた7段階に区分する。なお,Uは判定不能(unstageable)の頭文字。
d0:皮膚損傷・発赤なし
d1:持続する発赤
d2:真皮までの損傷
D3:皮下組織までの損傷
D4:皮下組織を越える損傷
D5:関節腔,体腔に至る損傷
DU:深さ判定が不能の場合
2)Exudate(滲出液)
e0:なし
e1:少量:毎日のドレッシング交換を要しない
e3:中等量:1日1回のドレッシング交換を要する
E6:多量:1日2回以上のドレッシング交換を要する
3)Size(大きさ)
 皮膚損傷範囲の,長径と短径(長径と直交する最大径)を測定し(cm),おのおのを掛け合わせた数値から7段階に分類した。なお,大きさの目安として,円形の創をイメージし,s3は直径2cm未満,s6は4cm,s8は6cm,s9は8cm,s12は10cm以内,S15は10cm以上と考えると理解しやすい。
s0:皮膚損傷なし
s3:4未満
s6:4以上 16未満
s8:16以上 36未満
s9:36以上 64未満
s12:64以上 100未満
S15:100以上
4)Inflammation/Infection(炎症/感染)
 創周辺の炎症あるいは創自体の感染につき,4段階に分類した。
i0:局所の炎症徴候なし
i1:局所の炎症徴候あり(創周囲の発赤,腫脹,熱感,疼痛)
I3:局所の明らかな感染徴候あり(炎症徴候,膿,悪臭など)
I9:全身的影響あり(発熱など)
5)Granulation tissue(肉芽組織)
 創面の肉芽組織の量により6段階に分類した。
g0:治癒あるいは創が浅いため肉芽形成の評価ができない
g1:良性肉芽が創面の90%以上を占める
g3:良性肉芽が創面の50%以上90%未満を占める
G4:良性肉芽が,創面の10%以上50%未満を占める
G5:良性肉芽が,創面の10%未満を占める
G6:良性肉芽が全く形成されていない
6)Necrotic tissue(壊死組織)
 壊死組織の病態が混在している場合は全体的に多い像をもって表現し,3段階に分類した。
n0:壊死組織なし
N3:柔らかい壊死組織あり
N6:硬く厚い密着した壊死組織あり
7)Pocket(ポケット)
 ポケットの広さの計測は,褥瘡潰瘍面とポケットを含めた外形を描き,その長径と短径(長径と直交する最大径)を測定し(cm),おのおのを掛け合わせた数値から「褥瘡の大きさで測定した数値」を差し引いたものを,5段階に分類した。
p0:ポケットなし
P6:4未満
P9:4以上16未満
P12:16以上36未満
P24:36以上


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