一般・福祉関係の皆様

褥瘡の予防について

褥瘡にならないためにはどうしたら良いのでしょうか?

1.体位変換の方法と時間間隔

体位変換の方法

長い時間同じところの圧迫を避けるため、定期的に体位変換を行います。方法のひとつに骨の突き出しがない広い面積のお尻の筋肉(殿筋)で体重を受けることができる「30度側臥位」(写真3)があります。この体位をとる場合はクッションなどを活用して、できるだけ広い接触面積で姿勢を保てるようにします。ただし、個人差があるので「30度」はあくまでも目安としてください(注1)。
体位変換のときはベッドからの転落や摩擦・ずれをなくすため、できれば2人で行います。このとき寝衣のしわによる圧迫をなくすよう整えます。1人で行う場合は体の部分を少しずつ移動させます(図3)。スライディングシートなどの回転しやすいシートを利用する方法もあります。

写真3(30度側臥位)
写真3(30度側臥位)
図3 一人で患者を移動させる方法
図3 一人で患者を移動させる方法

時間間隔

基本的に2時間を超えない範囲で行います(注2)。ただし褥瘡予防マット(体圧分散寝具)の種類や骨の突き出し具合によって個人差はあります。粘弾性フォームマットレスや上敷二層式エアマットレスなどを使用する場合、体位変換の間隔は4時間を超えない範囲で行ってもよいとされています(注3)。
統一したケアが行えるように「体位変換スケジュール」を使用することも方法の一つです。

体位変換表の一例
体位変換表の一例
  • 注1:褥瘡予防・管理ガイドライン第3版CQ9.3(推奨度C1)
  • 注2:褥瘡予防・管理ガイドライン第3版CQ9.1(推奨度C1)
  • 注3:褥瘡予防・管理ガイドライン第3版CQ9.2(推奨度C1)

2.体圧分散寝具

体圧分散用具の目的は、①「沈み込み」や「包み込み」により突出部の圧力を低くする(身体の接触面を増やす)こと、②「接触部位を変える」ことによって接触圧を低くするものです。そして体圧分散寝具を使用することにより、褥瘡発生率を低下させることが可能です(注4)。体圧分散寝具の種類は、対象者の褥瘡発生リスク、好み、ケア環境等も考慮に入れて選択します。特に自力体位変換が出来ない人には、圧切替型エアマットレス(褥瘡ガイドブックp168図8使用)を使用することが勧められています(注5)。

エアマットレスの構造
エアマットレスの構造

特に日本の高齢者には、何らかの疾患や筋力低下などによる活動性の低下、皮膚のたるみ(褥瘡ガイドブックp164図2使用)や骨の突出(褥瘡ガイドブックp164図3使用)があります。体圧分散寝具を選択する場合には、自力でどの程度動けるか、骨の突出具合なども考慮して選択します。そのため二層式エアマットレスなどの多層式のエアマットレスを使用することが勧められています(注6)。

高齢者の皮膚の特徴
高齢者の皮膚の特徴
  • 注4:褥瘡予防・管理ガイドライン第3版CQ10.1推奨度A
  • 注5:褥瘡予防・管理ガイドライン第3版CQ10.2推奨度B
  • 注6:褥瘡予防・管理ガイドライン第3版CQ10.3推奨度B

3.栄養

褥瘡予防の栄養管理の基本は、低栄養の回避、改善です。低栄養状態を確認する指標には、炎症、脱水などがなければ血清アルブミン値や体重減少率、喫食率(食事摂取量)があります。その他、主観的包括的栄養評価(SGA)(褥瘡ガイドブックp131表2使用)や高齢者にはMNAR(mini nutritional assessment)およびMNAR-Short Form(SF)(褥瘡ガイドブックp132表3使用)、CONUT(controlling nutritional status)などの栄養評価ツールの活用があります(注7)。

(↓画像クリックで拡大表示します。)

主観的包括的栄養評価
主観的包括的栄養評価
簡易栄養状態評価表
簡易栄養状態評価表

低栄養の人のため栄養管理の方法としては、疾患を考慮したうえで、高エネルギー、高蛋白質のサプリメントによる補給を行うことが勧められています(注8)。また、口からの栄養補給が難しい人には、必要な栄養量を経腸栄養(鼻や胃にチューブを挿入して流動物を補給する)で補給しますが、それも困難な場合は静脈栄養(点滴)による補給を行うとよいです(注9)。

  • 注7:褥瘡予防・管理ガイドライン第3版CQ4.4推奨度C1
  • 注8:褥瘡予防・管理ガイドライン第3版CQ4.2推奨度B
  • 注9:褥瘡予防・管理ガイドライン第3版CQ4.3推奨度C1

4.スキンケア

褥瘡になりやすい皮膚の状態としては、尿や便失禁による湿潤(皮膚のふやけ)があります。排泄物が付着した状態が長時間続くと、皮膚への刺激が加わり皮膚トラブルから褥瘡発生につながりやすくなります。排泄物から皮膚を守るためには、皮膚の洗浄後に、肛門・外陰部から周囲皮膚へ皮膚保護のためのクリーム等の塗布を行うことが勧められています(注10)。また皮膚の洗浄については、皮膚をゴシゴシ擦らないように優しく丁寧に洗うことが大切です。石鹸を使う場合には、よく石鹸を泡立て、十分に洗い流しましょう。
特に高齢者の皮膚は弱く、骨の突出した部位は皮膚の摩擦を強く受けやすい状態になっています。そのため、予防のためのテープ(ポリウレタンフィルムドレッシング材)やすべり機能つきドレッシング材、ポリウレタンフォーム/ソフトシリコンドレッシング材を貼ることが勧められています(注11)。(褥瘡ガイドブックp190図1使用)また日頃より皮膚が乾燥しないよう保湿クリームなどを塗布することが大切です。

すべり機能付きドレッシング材の貼付
すべり機能付きドレッシング材の貼付
  • 注10:褥瘡予防・管理ガイドライン第3版CQ8.1推奨度C1
  • 注11:褥瘡予防・管理ガイドライン第3版CQ8.2推奨度B